日本政府が東京2020オリンピックを理由とした「不法就労等外国人対策」を発表 ---
The Japanese government announces "Countermeasures Against Foreign Residents Including Those Working Illegally" with Tokyo 2020 Olympics as an excuse


2019/05/01/6:18:00



 平成30年4月に警視庁・法務省・厚生労働省は東京オリンピック・パラリンピックのための治安維持を理由とした「不法就労等外国人対策の推進」を発表しました。しかしながらここで示されている不法就労や偽装滞在に陥りやすい環境にある、難民申請者や(日本の制度では、申請には困難を極め、諸外国に比べ認定率が著しく低くあります。)、技能実習・特定技能などの名目のもとで過酷な労働環境にある人々、留学生らに対して全く考慮しないあまりか、犯罪者扱いをし、取締の強化の方針を打ち出しています。
報道発表資料として警視庁・法務省・厚生労働省から発表された「不法就労等外国人対策の推進について」を以下に引用します。


不法就労等外国人対策の推進(改訂)
平成30年4月26日
警察庁
法務省
厚生労働省

 警察庁・法務省・厚生労働省の三省庁(以下「三省庁」という。)は,当時その増加が社会問題となっていた不法残留者を始めとする不法就労等外国人への対策強化の一環として,平成4年に三省庁の関係局部長を構成員とする不法就労外国人対策等関係局長連絡会議を設置し,これまで同会議を通じて,不法就労等外国人に対する具体的施策の立案や,三省庁の第一線機関間の連携強化策を講じた結果,不法就労等外国人は順調に減少してきた。
 その一方で,過去の不法就労等外国人の態様は,不法残留や不法入国という,いわば単純な形態であったが,時代が変わるにつれ,その態様も大きく変化してきた。すなわち,近年においては,

  • 表面上は正規の在留資格を有するものの,その実態は在留資格に応じた活動を行うことなく,専ら単純労働に従事するなど,偽装滞在して就労する事案l実際には条約上の難民に該当する事情がないにもかかわらず,濫用・誤用的に難民認定申請を行い,就労する事案
  • 技能実習生が,より多くの報酬を求めて技能実習先から失踪して,他所で就労する事案
  • 留学生が,中途退学処分を受けた後も帰国することなく残った在留期間を利用して,就労する事案
  • 偽変造の在留カード等を行使して,就労する事案

など多様化し,我が国に在留し,就労するための手口が,年を追うごとに悪質かつ巧妙化している。
 このような不法就労等を企図する外国人や,これらを承知で雇用し,その弱みにつけ込み労働搾取を図る悪質な雇用者の存在は,我が国の労働市場に悪影響を及ぼすだけでなく,地下銀行を利用した不正送金等の犯罪インフラ事犯や人身取引事案の増加に拍車をかけることにつながりかねない。
 このような中,政府は,2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて「世界一安全な国,日本」を創り上げることを目指している。平成25年に策定された「『世界一安全な日本』創造戦略」では,不法滞在・偽装滞在者の積極的な摘発を図り,在留資格を取り消すなど,厳格に対応することとしている。また,平成26年に策定された「人身取引対策行動計画2014」においても,人身取引等の国際的な組織犯罪対策として,不法就労事犯に対する厳正な取締りを強化するとともに,不法就労防止のための広報・啓発を推進することとしている。このように,政府全体を挙げて不法残留者を始めとする不法就労等外国人に対する取組を続けているところである。
 加えて,我が国は,平成29年6月に組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律が改正されたことを踏まえ,同年7月には,国際組織犯罪防止条約の内容を補足する多国間条約であり,人身取引の被害者の保護等について規定する「人身取引議定書」を締結し,国際的にも,人身取引に対して一層厳正な姿勢で臨むことが期待されている。人身取引を助長・促進する不法就労助長事犯等についても,より一層厳正に対処していく必要がある。
 ついては,三省庁においては,不法就労等外国人を取り巻く現状認識を共有するとともに,第一線機関においても,その連携を更に強固にし,より積極的に対策に取り組むため,別紙のとおり,「不法就労等外国人対策の具体的内容(改訂)」を新たに取りまとめ,不法就労機会の撲滅に向けた取締り,取締り強化に向けた緊密な情報交換及び不法就労等防止に向けた広報・啓発活動及び指導の積極的実施について,一層強力に推進していくこととした。



不法就労等外国人対策の具体的内容(改訂〉
別紙

都道府県警察(警察),地方入国管理局(入管局),都道府県労働局(労働局)は,不法就労等外国人対策の一層の推進のため,協力関係の更なる強化に努め,以下の具体的施策に積極的に取り組む。


1 不法就労等の撲滅に向けた取締り
(1)警察及び入管局による不法就労助長事犯(悪質な雇用主,あっせんブローカー等)の取締り強化並びに労働局による不法就労助長行為事業主に対する労働者派遣事業又は職業紹介事業の許可取消し処分に向けた警察及び入管局との連携強化
(2)警察及び入管局による不法就労事犯(偽造在留カード行使等事案,難民認定申請を悪用した事案等)の取締り強化
(3)警察及び入管局による偽装滞在等事犯(偽装結婚事案,虚偽事由届出等事案,ブローカー等)の取締り強化
(4)不法就労等外国人が関係する労働関係法令違反事犯(強制労働禁止の罪,中間搾取の罪,無許可職業紹介事業の罪,労働者供給事業禁止の罪等)の取締りに向けた労働局と警察及び入管局との連携強化
(5)警察,入管局及び労働局による人身取引事犯に対する迅速かつ積極的な取締りと外国人被害者の適切な認知・保護

2 取締り強化に向けた緊密な情報交換
(1)警察,入管局及び労働局による不法就労事犯・不法就労助長事犯取締りのための円滑な情報共有
(2)警察,入管局及び労働局による労働関係法令違反事犯及び人身取引事犯取締りのための円滑な情報共有
(3)警察,入管局及び労働局による上記事犯の犯罪捜査,違反調査等における法令に基づく照会に対する迅速な対応
(4)雇用対策法第29条に基づく厚生労働省から法務省への適切な情報提供と入管局における情報の積極的な活用

3 不法就労等防止に向けた広報・啓発活動及び指導の積極的実施
(1)警察,入管局及び労働局による不法就労防止のための広報・啓発活動の積極的な推進
(2)入管局及び労働局による事業主に対する外国人雇用状況届出の履行の徹底と不法就労防止のための指導の促進
(3)警察,入管局及び労働局による不法就労助長行為等の検挙事案等の積極的な広報


以下 WEB PAGE  掲載
平成30年4月26日 
不法就労等外国人対策の推進について
警察庁・法務省・厚生労働省は,三省庁の局・部長で構成する「不法就労外国人対策等関係局長連絡会議」を設置し,我が国における不法就労等外国人問題について連携・協力しているところです。
 訪日外国人旅行者数は5年連続で過去最高を更新し,昨年は,2,800万人を超えるなど,人的な国際交流が活発化し,我が国に在留する外国人を取り巻く状況が多様化する中,不法就労等外国人は我が国の労働市場,治安など様々な分野に影響を及ぼすことが懸念されています。そこで,上記会議の下において,「不法就労等外国人対策の推進(改訂)」を策定し,今後更に飛躍的に訪日外国人が増える時代に向けて,三省庁が一層協力して不法就労等問題に取り組んでいくことを確認しました。

1 不法就労外国人対策等関係局長連絡会議構成員
  警  察  庁 刑事局組織犯罪対策部長,生活安全局長,警備局外事情報部長
  法  務  省 刑事局長,入国管理局長
  厚生労働省 労働基準局長,職業安定局長

2 不法就労外国人対策等関係局長連絡会議について
 不法就労等外国人問題については,関係省庁が協力し各方面から幅広い対策を講じていく必要があります。特に,治安,労働及び出入国管理などの分野において,所管省庁が相互に協力を深めながら実効性のある施策を実施していく必要があるとの観点から,不法就労等外国人及びこれに関連する事項について,有効かつ適切な施策を策定するため,情報及び意見の交換を行うことを目的として,平成4年2月に警察庁,法務省,旧労働省の局・部長を構成員とする「不法就労外国人対策等関係局長連絡会議」を設置しました。なお,同時に,これら三省庁の課長レベルを構成員とする「不法就労外国人対策等協議会」も設置されています。

3 不法就労等外国人問題の現状と対策
 在留資格を有していない不法残留者等の不法滞在者の多くが不法就労に従事しているとみられ,本連絡会議の下で様々な施策を実施してきました。特に,平成16年から,三省庁が中心となって不法滞在者の縮減のため各種の取組を行い,当時約25万人に上ると見られていた不法滞在者を大幅に縮減させ,その結果,不法就労等外国人の縮減を図ることができました。
 しかしながら,本年1月1日現在の不法残留者数は4年連続で増加するなど,不法就労に従事していると見られる不法滞在者がいまだ多数存在していると見られる上,偽変造在留カード等の偽変造文書を行使する者や,虚偽文書等を行使することなどによって,あたかも在留資格のいずれかに該当するかのごとく偽装して不正に在留許可等を受け,不法就労を行う者等のいわゆる偽装滞在者,明らかに条約上の難民に該当する事情がないにもかかわらず,濫用・誤用的に難民認定申請を行い就労する者,技能実習生で多くの報酬を求めて実習実施先を失踪して,他所で就労する者の存在が深刻な問題となっており,その手口も悪質・巧妙化するなど,不法就労等外国人を巡る問題は依然として看過できない状況にあります。
 昨年の訪日外国人旅行者数(注)は2,800万人を超え,5年連続で過去最高を更新し,今後,更なる高みを目指すこととされているところ,これら不法就労等外国人の存在は,社会全体に悪影響を及ぼす可能性が高いことから,観光立国の推進にも大きな妨げとなります。
 このような状況の中,政府は「『世界一安全な日本』創造戦略」に基づき,安心して外国人と共生できる社会の実現に向けて,水際対策,外国人労働者の就労状況の適切な把握,不法滞在・偽装滞在対策等の推進及び情報収集・分析機能の強化などを行うことによって,「世界一安全な国,日本」を創り上げることとし ています。
 また,平成26年12月に策定された「人身取引対策行動計画2014」において,「不法就労事犯に対する厳正な取締り」等を掲げており,国際的な組織犯罪である人身取引の対策としても,不法就労等外国人に対する各種取組を政府全体として推進していくこととしています。
 そこで,三省庁は,別添のとおり,「不法就労等外国人対策の推進(改訂)」を策定し,今後も一層連携を強化して不法就労等外国人対策に取り組んでいく所存です。

 (注)国土交通省観光庁(及び日本政府観光局(JNTO))による公表数値。

 出典:「不法就労等外国人対策の推進について」法務省ウェブサイトより (http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri09_00042.html



Countermeasures Against Foreign Residents Including Those Working Illegally (Revised)

April 26, 2018
National Police Agency
Ministry of Justice
Ministry of Health, Labour and Welfare

The National Police Agency, the Ministry of Justice, and the Ministry of Health, Labour and Welfare (hereinafter referred to as the “three governmental bodies”), in 1992, set up a Liaison Conference of the Bureau Directors related to illegal foreign workers. This was part of the efforts to reinforce countermeasures against foreign residents working illegally and especially those residing illegally [visa overstayers] in the country, as their increasing numbers were becoming a social problem at the time.   The Conference developed specific measures to combat the issue of foreign residents working illegally and strengthened coordination among the foremost organizations of the three governmental bodies. As a result, the number of illegal foreign workers has gradually been decreasing.
On the hand, in the past illegal foreign workers used to present simply in the form of visa overstayers and illegal immigrants, but as times change, there have been dramatic changes to the nature of their illegality.
   Typical of cases in recent years are those where:

  • the person has a valid visa to stay, but in reality is residing on false pretences as they engage fulltime in unskilled work, which is not in accordance with the activities allowed by the visa.
  • a person applies for recognition of their refugee status even though they do not qualify as a refugee according to the refugee convention and are thus abusing or misusing the system so they can work.
  • technical trainees who run away from their workplace and find somewhere else to work for better pay.
  • foreign students who do not return to their own country even after they have been expelled from their school part way through their course and instead work throughout the remaining period of their visas.
  • those that use forged documents such as residence cards in order to work.


These and other diverse ways are used to remain in our country, and the methods for finding employment have become increasingly pernicious and sophisticated as the years go by.

The presence of such foreign nationals who scheme to gain such illegal employment, and the dishonest employers who hire them while being aware of their illegality take advantage of the weakness of their situation to exploit their labour, not only have an adverse effect on the Japanese labour market. They also may accelerate the increase in, the number of crimes using criminal infrastructure such as illegal money transfers via underground banks, as well as human trafficking.
Under such circumstances, the Japanese Government aims at making “Japan, the safest country in the world” in preparation for the 2020 Tokyo Olympic and Paralympic Games.  The “Strategy to Make Japan the Safest Country in the World” formulated in 2013 provides that illegal foreign nationals and fraudulent foreign residents shall be aggressively exposed and dealt with rigorously, e.g. the nullification of their residency status.  It is also stipulated in the “Action Plan to Combat Human Trafficking 2014” prepared in 2014, that in addition to implementing stricter controls over cases of illegal employment that publicity and education should be used to promote the prevention of illegal employment as part of the measures against international organized crime like human trafficking.  As discussed above, the Government is continuing in its efforts directed against foreign residents working illegally and particularly those residing illegally.
In addition, based on the amendments of June 2017 to the Act on the Punishment of Organized Crimes as well as the Control of Crime Proceeds and Other Matters, in July of the same year, Japan signed the “Anti-Trafficking Protocol,” which is a multilateral convention that supplements the United Nations Convention against Transnational Organized Crime which stipulates the protection of victims of human trafficking. Thus, Japan is expected by the international community to take a tougher position regarding the prevention of human trafficking.  That is, Japan needs to deal more rigorously with cases of illegal employment that may result in increasing or aggravating human trafficking.
Such being the case, the three governmental bodies should share the recognition of the present situation surrounding foreign residents working illegally, and their foremost organizations should enhance their coordination to take stronger measures.  In order to do so, a new action program “Specific Contents of the Countermeasures against Foreign Residents including those Working Illegally (Revised)” was prepared as per the attached sheet.  Based upon this program, it has been decided to make further efforts in surveillance towards the eradication of illegal employment opportunities, to have a free and open exchange of information towards tighter controls, and to promote and actively implement publicity and education campaigns to prevent illegal employment and so forth.








Concrete Measures against Foreign Residents including those Working Illegally (Revised)



1. Clamping down on illegal employment, etc. directed towards its elimination

(1) Stricter enforcement of regulations by the police and the immigration bureau against offenses (such as corrupt employers and brokers)  promoting illegal employment and reinforcement of collaboration between the police and the immigration bureau towards the cancellation of permits issued by the labour bureau to worker dispatch services and job placement services which may lead to offences that promote illegal employment.
(2) Stricter enforcement of regulations by the police and the immigration bureau against illegal employment (including use of fake residence cards and abuse of the application system for recognition of refugee status, etc.)
(3) Stricter enforcement of regulations by the police and the immigration bureau against residency fraud (sham marriages, applications made under false pretences, brokers, etc.)
(4) Stronger collaboration between the labour bureau, the police and the immigration bureau in order to expose violations of labour-related laws and regulations in which foreign residents working illegally are involved (such as offenses against the prohibition of forced labour, offenses of intermediary exploitation, offences relating to unlicensed job placement services, and offences against the prohibition of labour supply services)
(5) Swift and strict control over offenses against trafficking in persons and the recognition and protection of foreign victims by the police, the immigration bureau, and the labour bureau.


2. Closely coordinated information sharing for achieving tighter control

(1) Smooth sharing of information between the police, the immigration bureau, and the labour bureau to clamp down on crimes of illegal employment and the promotion of illegal employment.
(2) Smooth sharing of information between the police, the immigration bureau, and the labour bureau to clamp down on violations of labour-related laws and regulations as well as crimes relating to human trafficking.
(3) The police, the immigration bureau, and the labour bureau will promptly respond to enquiries based on law regarding the criminal investigations and inquiries into violations etc. of the above-mentioned offences.
(4) The Ministry of Health, Labour and Welfare will provide relevant information to the Ministry of Justice based on article 29 of the Employment Measures Law, and this information is to be used proactively by the Immigration Bureau.


3. Proactive Implementation of publicity and education activities as well as guidance for the prevention of illegal employment etc.

(1) The police, the immigration bureau, and the labour bureau, will be proactive in promoting publicity and education activities for the prevention of illegal employment etc.
(2) The immigration bureau and the labour bureau will be thorough in ensuring that business owners comply in registering their employment of foreigners and provide guidance regarding the prevention of illegal employment.
(3) The police, the immigration bureau, and the labour bureau, will actively publicize cases of arrest of those engaging in activities promoting illegal employment etc.





 出典:「不法就労等外国人対策の推進について」法務省ウェブサイトより (http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri09_00042.html